他人の行為により病気やけがをしたとき
自動車事故など他人の加害行為が原因で病気やけがをしたとき、健康保険で治療を受けることができますが、その場合、できるだけすみやかに「第三者の行為による傷病届」を提出してください。
必ず健康保険組合に届出を
交通事故のように、第三者によって起こったケガや病気は、当然その第三者である加害者が、治療費や休業補償費を支払うわけですが、さしあたって被害者は、健保組合に届け出を出すことによって健康保険によるケガの治療を受けることができます。ただし、健康保険で治療を受けたり、傷病手当金をもらった場合にはその部分についての賠償請求権は健保組合に移ることになります。つまり、健保組合が、被害者であるみなさんにかわって、給付を行った範囲内で加害者に損害賠償を請求するわけです。
交通事故の場合、よく加害者と被害者との間で示談が行われ、安易にすまされてしまうことがありますが、示談内容によっては被害者は健保組合からの給付が受けられなくなる場合があります。
みなさんやご家族のかたが第三者の行為によって病気やケガをしたり、または亡くなられた場合は、すぐに所属の事業所をとおして健保組合へ届け出てください。そうすることが、最終的にはみなさんにとっていちばん有利になるのです。医療機関から健保組合へ届く医療費請求内容で、交通事故と判明した段階では手続き上遅すぎるのです。
- ※70歳以上75歳未満で特例措置により自己負担割合が1割負担となっている方も、第三者行為が原因の傷病については2割負担となります。
自動車事故にあったら
- STEP1できるだけ冷静に
ショックで冷静な判断を失うことがあります。できるだけ冷静に対処してください。 - STEP2加害者を確認
ナンバー、運転免許証、車検証などを確認しましょう。 - STEP3警察へ連絡
どんな小さな事故でも、必ず警察に連絡しましょう。 - STEP4示談は慎重に
示談により、損害賠償請求権の一部を放棄した場合、その範囲で健康保険の給付を受けられなくなることがあります。後遺障害などで後から治療が必要になったとき、健康保険が使えないといった事態を避けるためにも、示談をする場合は事前に健康保険組合にご相談ください。
第三者行為となる場合
「第三者行為による傷病(本人または家族)」は次のとおり
- 第三者(相手側)と接触または衝突等の交通事故で受けたケガ
- 事故車に同乗していて受けたケガ(同乗者が親族であっても適用)
- 暴力行為により受けたケガ(殴打)
- 他人の飼っている動物等に咬まれて受けたケガ
- 第三者の行為に起因して受けたケガ(本人の過失が多い場合でも)
(例:駐停車中の車に激突、他車に接触転倒、センターラインオーバーしての対向車との激突事故等)
「自損事故(本人または家族)」は次のとおり
- 自己の運転の誤りで電柱、ガードレール、ブロック塀等に激突して受けたケガ
- 自己の運転の誤りで転落、転倒等により受けたケガ
- 上記以外で本人または家族が単独で起こした事故によるケガ
(例:屋根からの転落、階段からの転倒、歩行中の転倒等)
これらの原因によって起こったケガや病気の場合、本人の過失の程度により、保険給付の全部または一部が給付制限されることがあります。
業務上の事故が原因のときは
業務上あるいは通勤途中に第三者行為が原因で病気やけがをしたときは、健康保険ではなく労災保険が適用となりますので、事業所担当者にお問い合わせください。
- ※業務上の負傷等でも労災保険の給付対象とならない場合は、法人(5人未満の法人除く)の役員としての業務を除き、健康保険の給付対象となります。